理事長 村山伸子

2021年11月より,新執行部体制となり,引続き理事長を
拝命しました。
地球上の全ての人の幸福と健康のため,そして持続的な社会と
自然環境の保全のために,学会員の皆様とともに,これまでの
日本栄養改善学会の歴史と活動の広がりを発展的に継承して
いきたいと思います。
具体的には,本学会の長期目標である「実践栄養学の学術としての
確立」に向け,中期目標としての「栄養・食の管理の実践現場と大学・研究機関の連携・協働による実践研究の促進,成果の社会への発信の強化」をさらに推進します。そのための短期目標(第19期、20期の目標)は、学会員の交流の促進、実践栄養学の研究推進体制の整備、国際活動推進としました。
現在,世界は,人口が増加する地域と減少する地域の偏在,社会経済格差,自然環境の悪化に伴う地球温暖化が,世界の人・物(金)・情報が国境を越えてつながるグローバル化の中で進展するという,これまでの歴史上経験したことが無い時代を迎えています。そのような中で,持続的な社会のあり方について,日本だけでなく,地球全体として考えることが必要であり,日本にどのような役割が果たせるかが問われています。特に,“栄養”は,自然から生産される“食”と人が“生きること”“健康”“幸せ”とをつなぐ基本的な営みであり,“栄養”をどういう方向に進めていくかが,地球や人の存続に関わっているともいえます。その方向を決める基礎となるのが“栄養学”であり,中でも“実践栄養学”をどう発展させるか(発展させることに貢献できるか)が本学会の担う役割といえます。
こうした中で,2021年の東京栄養サミットでは日本栄養学学術連合としてコミットメントを提出し、各学会が栄養不良の二重負荷の改善に資するため「日本の食事」についての研究を推進すること、人材育成をすることを宣言しました。日本栄養・食糧学会と本学会が主催で2022年12月には第22回国際栄養学会議(22nd
IUNS-ICN)が開催されます。本学会がどのように学術として実践栄養学を世界に発信できるかが問われる時期になります。また、2022年には栄養学雑誌が80巻になります。
これらのことを念頭に,引き続き以下の活動をおこないます。
〇将来構想の検討:ワーキングの設置により、本学会の未来を構想し、具体的な取組を開始
○学術総会の充実・発展:若手の交流の場,実践栄養学研究セミナーの支部間交流の場等,会員の交流の場としての役割を強化
〇実践栄養学の研究の蓄積:栄養学雑誌の実践栄養学研究の論文掲載の場としての充実。栄養学雑誌80巻のレビュー
〇実践栄養学の研究体制整備・人材育成:地方支部会と連携した,実践栄養学研究セミナーの推進・充実
〇栄養学の社会実装:コンソーシアムで運営する「健康な食事・食環境」認証制度への参画
〇実践栄養学推進のための基盤整備:日本給食経営管理学会と協同で日本食品標準成分表等の食品データベースの課題と活用方法を検討
〇実践栄養学の国際的発信:2022年に日本で開催される第22回国際栄養学会議(22nd IUNS-ICN)を日本栄養・食糧学会と共同主催
〇会員相互のコミュニケーション向上:メールマガジン,会員ページの充実
学会員の会費でこれらの事業は運営されています。上記の他にも,会員の皆様からの,“こんなことしてみたい!”を歓迎します
2021年11月1日 理事長 村山伸子