理事長挨拶

                     理事長 塚原丘美

 2023年11月より、執行部は新体制となり、理事長を
拝命しました。今期に本学会創立70周年を迎えます。歴代の
理事長に倣い、歴史ある本学会の活動を継承していきます。誰
ひとり取り残さない全ての人の幸福と健康のために、栄養学を
基盤としたあらゆる領域で研究および実践活動を展開していきた
いと思います。
 本学会の活動は、長期目標である「実践栄養学の学術としての
確立」を目指し、「栄養・食の管理の実践現場と大学・研究機関の
連携・協働による実践研究の促進、成果発信の強化」を中期目標に掲げています。これらを達成するために、第21期・第22期では、若手会員の活性化、研究と実践活動領域の拡大、実践活動報告から研究への展開、支部会連携の強化を活動目標として事業を進めてまいります。
 栄養学をベースにすべての人の幸福と健康を実現するためには、文化的適応性、個別化への対応、健康格差の解消、栄養不良二重負荷の解消、栄養関連疾患の予防、食品の安全性、食品アクセスの環境改善、情報アクセスの改善、環境問題への取り組み、グローバルな協力など、多くの課題が存在します。これらの課題を持続可能な手段で解決するためには、人の多様性を理解し、あらゆる領域から多面的に取り組むことが大切です。本学会は、栄養学の様々な分野で研究・実践活動を行なっている学会員で成り立っており、“すべての人”をテーマに集うことができます。これができるのは栄養学に関連する多くの学会の中で唯一です。さらにこの領域を拡大し、この本学会の強みをさらに増していきたいと思います。しかしながら、会員数は減少傾向にあります。上記の研究・実践活動、事業を展開するためには、現在の会員数を確保することが必要です。これまでも様々な取り組みを行なってきましたが、今後も将来構想ワーキンググループ未来デザインチームを中心に検討していきます。
 本学会の特徴を活かして、会員数の確保を念頭に以下の活動を進めていきます。
〇 栄養学雑誌の電子化:2024年4月より電子投稿システムを導入します。これに向けて2024年1月より編集業務を委託します。さらに、オンラインジャーナルへの移行について検討を開始します。
〇 若手会員の活性化:若手会員に向けた実践研究の事例動画を配信します。学術総会では、若手会員と学生会員の集いを開催し、若手学会発表賞(Young Presentation Award)などを設けます。
○ 支部会連携の強化:学術総会で支部会間交流ひろばを設け、実践栄養学研究セミナーの実施方法について支部会連携等を検討します。
〇 健康日本21の推進:都道府県ごとの食環境改善に関する戦略的活動を展開します。
〇 実践栄養学の研究の蓄積:栄養学雑誌の実践栄養学研究の論文掲載の場としての充実をはかり、また栄養学雑誌全80巻から「日本の食事」に関するレビュー(サプリメント号)を発行します。
〇 実践栄養学の研究体制整備・人材育成:地方支部会と連携した,実践栄養学研究セミナーの開催を継続します。
〇 栄養学の社会実装:コンソーシアムで運営する「健康な食事・食環境」認証制度へ参画します。
〇 実践栄養学推進のための基盤整備:日本給食経営管理学会と協同で日本食品標準成分表等の食品データベースの課題と活用方法を検討します。
〇 実践栄養学の国際的発信:IUNS若手育成ワークショップの企画、大韓地域社会栄養学会、米国栄養教育・行動学会との連携、NJPPPに参画など、これまでの国際事業を継続します。
〇 会員相互のコミュニケーション向上:メールマガジンを継続して配信し、会員ページの充実を図ります。
 これらの事業の展開とともに、今期から事務局業務の段階的委託について検討を開始します。会員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。


                       2023年11月1日 理事長 塚原丘美